MLMネットワークビジネスの起源と歴史

MLMネットワークビジネスについて知るためには、
このビジネスが、いつどこで生まれ、
どのように発展していったのか、その歴史をご説明します。

ネットワークビジネスは、まだ歴史が浅い発展中のビジネスです。
20世紀にアメリカでその販売システムが生まれました。

まず、この"ネットワークビジネス"という名称ですが、
これは主に日本で使われている名称で、発祥地のアメリカでは、
マルチレベル・マーケティング 「MLM(Multi-Level Marketing) 」
と、呼ばれています。
この頭文字のMLMという名称も日本では知れれていますが、
同じことです。

MLMは、一般流通システムの「SLM(Single-Level Marketing) 」
との比較で生まれた名称です。

つまり、「多面的な階層で物品を流通させる仕組み」という意味で、
1930年代にアメリカで誕生した無店舗訪販商法のひとつ、
日本語では連鎖販売取引と訳されている販売システムの1つです。

広い国土を持つアメリカでは、無店舗訪販商法が誕生する以前から
一軒一軒の家を回って商売する訪問販売が盛んでした。
西部劇に出てくるような幌馬車の時代から、開拓地など町から離れた
住まいを訪ねて直接商品を売っていたわけです。
日本の富山の薬売りの行商と同じ感覚でしょうか?

世界で初めてMLMを展開したのは、、
アメリカ、カリフォルニア州の「ニュートリライト・プロダクツ」
(1934年カリフォルニアビタミン)だと言われています。

このカリフォルニアビタミン社は、一般消費者と販売者を結びつけた
独自の販売方式を開発しました。

その方式とは、会社の商品を愛用してくれる消費者を「販売員」
として起用し、その「販売員」に新たな「販売員」を募集する権利
を与えました。

そして、「販売員」には、以下の2種類の手数料が会社から
支払われます。

1 自分が売った商品の販売手数料
2 新たな「販売員」を
獲得したら、その「販売員」の売り上げに対しても
  一定の販売手数料

「販売員」は会社の従業員ではなく、独立した自営業者となり、
会社勤めのように時間に制約されることなく、自由に販売活動ができます。

小さなお子さんを持っている主婦の方など、ホームパーテシ形式で
商品の説明をして売ることもできる、在宅ビジネスの誕生です。
自営業者として大きな資金も必要とせずに収入を得ることができると
人気になりました。

会社側にとっても、この販売システムは、
通常の販売で必要となる流通経費や広告宣伝費などの経費が不要
となるため、その浮いた分の経費を販売員への販売手数料として
支払えるので、無駄な経費がかからず利益が確保できます。
小資金で会社も商品を流通させることができるメリットがあります。

この新しい販売方式が成功し評判となり、同じ方式を採用した会社が
急速に普及していきました。
同じ頃に「スワイプ」(現「ネイチャーケア」)なども誕生したりと、
1940年前後がMLMの誕生だと言われています。

その後、1960年頃にはアメリカ国内でMLM方式の事業者数が
約200社を数えるほど成長していきました。

しかし、中には悪質な商法を行う会社も少なからず存在し、
社会問題となりはじ めました。
特に有名なのが、1960年代の後半、ターナーエンタープライズ
の総帥グレン・ターナーです。

彼ガ主催するミーテイングでは巧みな話術で参加者を集めましたが、
この会社が扱っていた商品は粗悪品ばかりで、中には商品が
存在しないこともありました。

その実情は、ビジネス参加者を勧誘し、登録料、タイトル獲得料、
権利金などいろんな名目をつけて、参加者から多額の出資をさせ、
その集めたお金を上位者(最初に参加した者)が山分けしてしまう、
いわゆる「ピラミッド商法」でした。

このような悪質な企業が次々と誕生したことで、正当なビジネスを
しているMLM企業も疑いの目で見られるようになりました。  

この「ピラミッド商法」で経済的な損失を被った人が続出し、
大きな社会問題となりはじめました。
そのため、連邦取引委員会事務局は1973年以降、
悪質な企業を摘発したり、
中には業務停止命令が下された企業も出てきました。

そこで、アメリカ国内で業務できなくなったピラミッド商法の企業は、
海外へ進出していきました。
が、当然のことですが、海外でもすぐに違法性が摘発され、
ホリディマジック社はカナダ、スウェーデン、シンガポールでも
業務停止命令を受けています。
イギリスはピラミッド商法そのものを法律で禁じてしまいました。

その当時は、ピラミッド商法とMLMの違いが、法的にまだ明確に
区別されていなかったため、違法性が高いピラミッド商法が法的
規制を受ければ、MLMも「よく似た商法」と疑われました。

その頃、画期的な出来事がありました。
1975年、MLMの代表企業だったアムウェイが、
アメリカ連邦取引委員会から告発されました。

このとき、アムウェイはアメリカ連邦取引委員会に対して、
自己の正当性を主張し、
裁判で徹底的に争い、
1979年に勝訴しました。

不正なピラミッド商法の本質的な特徴は、
参加すれば製品を販売する権利とともに、別の参加者
リクルートするだけで消費者への製品の販売とは
無関係に報酬を受
ける権利が得られるとして、
会社に金銭を支払わせることである。

この販売と無関係な報酬を得るというリクルート条項は、
まさに無限連鎖講的仕掛(ネズミ講)で、
リクルートに
よってある程度それを埋め合わせることを期待して
多額の対価を支払った人は裏切られる。


アムウェイのセールス・マーケティング・システムは、
ピラミッド・システムの持つ本質的な特徴を含んでおず、
したがってそれは本質的に偽りで人を欺すようなもの
はない。

※  『驚異のアムウェイビジネス』引用

この裁判の後、アメリカの著名な経済誌『フォーチューン』の中で、
「注目に値する新流通携帯」という企画特集を組みました。
この雑誌に紹介されたことで、MLMが広く一般大衆に知られる
ようになり、大きな関心を呼び起こすことになりました。

1980年代に入ると、MLM方式を導入する会社が爆発的に増加し、
2000社にまで増加、その中にはコダック、エイボン・プロダクツなど
有名企業も含まれていました。

このようにネットワークビジネスは、本国アメリカでも歴史が浅く、
悪徳商法との区別が難しいという悪評もありましたが、
企業にとっても、消費者にとっても有益な販売システムであることは
間違いないでしょう。

次は、日本のネットワークビジネスの歴史を振り返ってみましょう。