私が住んでいるドイツの田舎ですが、今でもお城に領主が住んでいる、
いわば城下町です。なので、昔の宮廷劇場の建物があり、現在も劇場として
歌劇、演劇、バレエなど上演されています。

海外在住の夢が叶えられ、文化的環境の整ったところに住めて幸せです。


チェーホフの戯曲「かもめ」を見ました。

題名だけは誰もが知っているほどの有名な作品ですね。
恥ずかしながら、私はまだ見たことも読んだこともありませんでした。

見に行く前にインターネットであらすじチェックしましたが、
ドイツ語の早い台詞を聞き取ることや意味を理解することは至難の業です。

だから、日本に帰って日本語訳の文庫本を買って読みました。


自分が歳を重ねていくと、本を読む時に作家が作品を書いた年齢が気になる
ようになりました。チェーホフがこの作品を書いたのは35歳頃。
当時の自分のことを思い返して、己の未熟さが恥ずかしくなると共に、
現在の私達にも共通する悩みを鋭く表現している文章に深く感心しています。


2幕のニーナの台詞に、以下のような有名な台詞があります。

「女流作家とか女優とか、そんな幸福な身分になれるものなら、
わたしは周囲の者に憎まれても、貧乏しても、幻滅しても、
りっぱに耐えてみせますわ。(中略) その代わりわたしは要求するのよ、
名声を・・・」神西清訳より


ニーナや多くの若者が考える「幸福と名声」、チェーホフがこの作
品の中で書く文が、今の私の胸に深く響きます。

ニーナの有名な台詞が、どのような場面で発せられたのかを説明しないと、
意味がよく分からないので「かもめ」のあらすじを一部簡単に書いてみます。

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ニーナの恋人トレーブレフの母親は有名な女優で、
大学を中退して田舎でぶらぶらしているトレーブレフは無能な自分に
コンプレックスを持っています。

その母親が愛人である流行作家トリゴーリンと一緒に田舎に避暑に
くることになり、トレーブレフは自作の戯曲をニーナを主役に皆の前で
公演しますが、母親に嘲笑され深く傷つきニーナの心も離れていきます。

ニーナは有名な女優や作家に憧れ、彼らの行動を観察して普通の人とあまり
変わらないことを不思議に思いながらも、トリゴーリンと成り代って自分が
有名になる気持ちを知りたい、とトリゴーリンに話します。

トリゴーリンは常に小説を書かねばならぬという強迫観念に追われる生活で
心が休まる間がないこと、世間に対する恐怖などの苦悩を告白します。

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それを聞いてもニーナは名声を受けることを羨ましく思い、
前記のような台詞を言うのです。


また2幕の初めの場面で、女優のアルカージナがいつも黒い服を着ている
若い娘マーシャと並んで、どちらが若く見えるか訊ねます。

アルカージナの方が若く見えるという答えに満足し、マージャの歳の倍も
ある自分がどうして若く見えるのか日頃から気を使っていることを説明します。

「わたしがこうしていつまでも若くていられるのは、
そこらの連中みたいにぐうたらな真似をしたり、
自分を甘やかしたりしなかったおかげですよ・・」

この台詞ももっともだと思います。
今回日本で高校の同級生達と会いましたが、その中に某有名女優さんもいました。

日頃からテレビや映画の画面で見る通り、若くてスタイル抜群で
とても私達と同じ歳には見えませんでした。
「やっぱお金がかかってるもんね~」
とつい憎まれ口を利いてしまいますが、
お金だけじゃない、日頃から並々ならぬ努力して若さと美貌を保っていることぐらい、
皆だって本当は分かっているのです。
(そんな努力ができない私達の妬みからでる言葉ですから、Sさん許してね)


人は誰でも多かれ少なかれ夢を持っているでしょう。
その夢を実現することはそれ程難しいことではないのかもしれません。
でもその実現した夢を維持し続けることの方が本当は難しいのではないでしょうか。

これって、何かに似てるような・・そうダイエット!!
「ダイエット自体はそれ程難しくないけど、
その減らした体重を維持し続けるのが難しい」
って誰かが言ってましたっけ。

そして、これがまた「かもめ」の最後にニーナが言う台詞に共通していると思います。

「舞台に立つにしろ物を書くにしろ同じこと、
わたしたちの仕事で大事なものは、名声とか光栄とか、
わたしが空想していたものではなくって、
じつは忍耐力だということが、わたしにはわかったの・・」


ネットワークビジネスで成功するにも、この忍耐が必要ですね。